ロザリオの由来、その祈る力
2019年 10月 01日
ロザリオは、初めはラテン語の「主の祈り」の最初の言葉「パーテル・ノステル」と呼ばれ、また「聖母の詩編」という名が使われたこともあります。現在は「ロザリオ」ですが、ロザリオは「ローザ」、すなわち「バラ」という言葉が元になっていて、「バラの冠」という意味です。というのは、ロザリオの祈りを唱えることはイエス様の生涯、受難、復活の奥義とマリア様の生涯に関係する奥義について黙想しながら聖母にさしあげる霊的なバラのリースのようなものだからです。
10月に入りますと、教会は私たちにロザリオの祈りを聖母マリアにささげるよう呼びかけます。聖母マリアへのロザリオの祈りによって、より深く信仰を生きることができるのです。このロザリオを繰り返し唱えることによって神様のお恵みを頂けるのです。
ロザリオは救いへの道を繋げます。ある日、聖ヨハネ・ボスコは毒蛇が飛び出す夢を見ました。その蛇は珠のひもで首を絞められて死にました。そのひもを箱の中に入れて再び箱の蓋を開けると「アヴェ・マリア」の字に見えました。「この蛇は悪魔であり、結び珠はアヴェ・マリアの祈り、ひもはロザリオの祈りです。この祈りによって、蛇という悪魔に勝ったのです」と聖ヨハネ・ボスコは説明しました。
ロザリオの祈りはすべての悪魔に打ち勝ち、あらゆる欲望・危険・誘惑・罠を避けることになります。青少年の教育に一生をささげた聖ヨハネ・ボスコは、ロザリオの祈りを唱えることを人間教育の一つの方法として取り上げています。他の大切なことをしないことがあっても、ロザリオの祈りだけは必ず唱えたいものです。
幼いイエスの聖テレジアも「ロザリオの祈りは全人類を変える力を持っている」と確信していました。本当にそうだと思います。多くの信徒たちがロザリオの祈りで聖母を崇敬することで豊かな恵みを頂いています。ルルドの聖母マリアも、何回も何回も繰り返して「必ず聖母へのロザリオの祈りを唱えなさい。特に罪人の悔い改めの為に、ロザリオの祈りを唱えましょう」と私たちにメッセージを送りました。
マリアに対する祈りの中でも、幾世紀にもわたって大切にされてきた信心がロザリオです。この祈りを歴代の教皇はたびたび言及し讃えています。教皇ピオ十一世は「われわれが神の御母に向かって唱えるいろいろな、そして有益な祈りのうちで、聖なるロザリオは特別な、きわめて主要な地位を占めていることを知らない信者はない」(回勅『イングラヴェシェンティブス・マーリス』)と言っています。
また、2002年10月16日に教皇聖ヨハネ・パウロ二世は、使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』を発表されました。これまでの「喜び」、「苦しみ」、「栄え」の神秘(玄義)に、イエスの生涯をより完全に観想できるよう、「光の神秘」を加えられたのです。教皇聖ヨハネ・パウロ二世は次のようにおっしゃいました。「私たちは、ロザリオのそれぞれの連を唱えることによって、個人、家族、国、教会、そして全人類の生涯に起こる全ての出来事を心に収めることができます」(教皇ヨハネ・パウロニ世使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』)。なぜなら教皇様がおっしゃるように、ロザリオという贖い主の聖なる人間性との出合いの場に、私たちの生活の場にあるあらゆる問題、心配事、労苦、計画を差し出すのは当然のことです。私たちはロザリオの祈りを通して、これらの出来事のために、マリアの取り次ぎによってイエスのお恵みを願うのです。
多くの聖人はロザリオの祈りを唱えて、神様のお恵みと力をいただきました。一人ひとりの生き方を通して、それを私たちに明かしてくださいました。私たちも、マリアとともに歩むことによって、イエスの神秘により深く分け入り、イエスとの内的一致を実現することができるようになるのです。
ロザリオの祈りは、「喜び」、「光」、「苦しみ」、「栄え」のすべての神秘において、マリアと自分を重ね合わせながら、マリアとともにイエスに一致することができるように、私たちを助けてくれます。同時に私たちは、この祈りを唱えながら、神の母、教会の母であり、天の栄光の中でイエスとともにおられるマリアに、子としての愛と信頼をもって、取り次ぎを願い求めるのです。