カトリック夙川教会月報 巻頭言


by shukugawachurch

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アンジェラスの鐘

                                                       
ヨセフ 赤波江 豊 神父


 教会では、よく正午や夕方の定時刻に鐘を鳴らします。これをアンジェラスの鐘と言います。これは聖書にあるように、大天使ガブリエルが聖母マリアに、救い主を身ごもったことを告げ知らせたことを思い起こし、私たちも人となられた神のいのちにあずかることを祈るものです。
 私がかつて大阪の箕面教会の主任司祭だったとき、ある信者さんから電話がありました。教会の近くに住んでいる知り合いの未信者の一家に四歳の子どもがいるが、重い病気なので、教会の神父に祈ってほしいということでした。
 早速、翌朝訪問しましたが、その子は小児ガンで全身が侵されて目も見えなくなっており、私の目にもあまり長くないように思えました。その子の名前は〈よしつぐ〉と言いました。一年前にガンが発覚して以来、母親は病室から片時も離れることなく、付きっきりで看病していたのでした。その母親は信者ではありませんが、マリア様が好きらしいということで、そこで聖母マリアの取り次ぎを求めて祈り、持参したルルドの水を注いだりしました。
 その後何度か訪問しましたが、最後に訪問した日、その日は金曜日でしたが、相変わらずベッドの上に身を横たえているこの幼い子の手を取って、私はマリア様に、こう声に出して言いました。
「マリア様、あなたも昔、こんな幼い子どもをかかえて苦労した日があったでしょう。だから、あなたはこの母親の気持ちが誰よりもわかるでしょう。だから、お願いです。何とかこの子を救ってあげてください」。そう言ってルルドの水をこの子に注ぎました。
 その時、ふと教会の鐘の話になりました。母親は時々看護師さんと「いい鐘の音が聞こえてくるね」などと話していたらしいのですが、これが箕面教会の鐘の音とは知らなかったようでした。私は、病室の窓から小さく見える教会の塔を指しながら、「あそこから聞こえてくるのですよ」と教え、「鐘が鳴る時にはよしつぐちゃんのためにお祈りします」と約束し六時、その時私は自分の部屋にいましたが、アンジェラスの鐘が鳴ったので、約束どおり子どものためにマリア様にささやかな祈りを捧げました。
 その二時間後電話があって、ちょうど六時に、子どもは眠るように息を引き取ったとの知らせを受けました。六時といえば、アンジェラスの鐘と共に私が子どものために聖母マリアに祈っていた時でした。よしつぐちゃんはアンジェラスの鐘と共に天に昇って行った!! その時私は、前日の金曜日の夕方、この子の手をとってマリア様に言った言葉を思い出しました。あの言葉をマリア様はどのように受け止めてくれたのでしょう。おそらくマリア様は、自らも幼い子どもをかかえたことのある母親として、この子にこの世でこれ以上苦しんでほしくない、この子のこの世での使命は終わった、この子が天に昇ったあと、再びこの世にこの子の花を咲かせてあげることを約束して、この子を天国に連れていったのです。私はこの子がアンジェラスの鐘と共に天に昇ったことを、決して偶然とは思いません。むしろ、聖母マリアがこの子に目をとめてくださった〈しるし〉と、今でも堅く信じています。その翌年、残された両親とお兄ちゃんのよしつぐちゃん一家は全員受洗しました。
 夙川教会でも毎日三回、アンジェラスの鐘が鳴っています。神の母聖マリアの祭日と共に新しい年が始まりました。この一年、夙川教会のアンジェラスの鐘の音を聴きながら、誰かがどこかで神様と結ばれることを祈っています。

神の母聖マリアよ
  幼子の心を保たせてください
泉のように清く澄みとおった心
寂しさにもくじけぬ心
惜しげもなく
自分を与えて微笑む心
同情に満ちたやさしい心
憎むことなく思いやりのある心
誠実で寛(ひろ)やかな心
愛を惜しまず同情を求めない心
柔和にして謙遜な心を
御子イエスの光栄のために
すべてを快くゆずる心
忘恩冷淡にも気落ちせず
おおらかで強い心
イエスの愛に燃え
その愛に渇く心
永遠の天国を仰ぎ慕う心を
御母よ、わたしに与えてください

(よしつぐちゃんが天に昇った時、ささげた祈り―グランメゾン師 作)






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by shukugawachurch | 2016-01-01 00:00